2015年07月22日

米軍特殊作戦部隊の一考察①

どうも、ちょっと舞い上がってるフライです。

さっそくブログについて諸先輩方より助言をいただきました。ありがとうございます。

米軍特殊作戦部隊の一考察①
助言をしてくれる諸先輩方のイメージ図


前回はめちゃくちゃ軽いノリで書いてしまったので今回はもうちょっとマシな文章を書こうと思います。

防衛省防衛研究所の塚本勝也先生が『米軍の特殊作戦部隊の役割と課題 ――アフガニスタン・イラクにおける活動の事例を中心に――』という題で防衛研究所紀要 第14巻第1号(2011年12月)に寄稿されていた論文をご紹介したいと思います。

因みにこの論文は防衛研究所のサイトよりPDFにてダウンロードすることができますので興味のある方は是非覗いてみてください。

さっそく本論ですが9.11後にイラク、アフガニスタンで米特殊任務部隊が担った役割について

①抵抗勢力の支援
②精密誘導兵器、空爆の誘導
③テロリストや政府要人の捕捉、殺害
④治安維持、復興支援活動の一環としての軍、治安機関の育成

があげられています。

また、特殊部隊が目立つようになった背景は非通常、非対称の脅威がアメリカの安全保障を脅かすようになったためだとされていました。
つまり、テロをはじめとする従来の軍隊では対応が難しい脅威がアメリカを襲いだしたということですね。

これらのように特殊な任務が増える一方、これを遂行する隊員の選抜、訓練は非常に困難であるようです。

塚本先生は本論の中で現在、米特殊任務部隊の課題としては

①急速な部隊拡張は困難であること
②特殊任務部隊は通常戦力を代替手段ではない

といったことがあげられています。

つまり、特殊部隊は一般部隊では遂行不可能な任務に集中した方が費用効果的にもええで!という内容ですね。

たしかに特殊部隊といえばビンラディン急襲作戦をはじめとしてめっちゃ強い殺し屋部隊という印象が強いですし、この一面のみ強調されている気もしますね。

なんとこの特殊部隊に対する誤った認識はベトナム戦争時代より存在したようです。

この事例としてはCIAの指揮下で南ベトナム軍の訓練や抵抗勢力の育成、住民の指示を獲得する心理戦を行い作戦を成功させていたものの米陸軍の方針で一般部隊同様にゲリラ掃討作戦など攻勢作戦に用いられるようになったことがあげられていました。

ベトナム戦争の事例では従来、行われていた住民の指示獲得や治安維持任務が軽視されるようになり特殊作戦部隊による対反乱作戦の役割は低下し、陸軍内でも目立たないようになったことが失敗につながったとされているようです。

特殊作戦の成功事例としては2001年のアフガン戦のように北部同盟をはじめとする対抗勢力を訓練、支援しすることでタリバン政権を打倒したことやイラクで治安機関を再編したことがあげられるようです。

けっこうざっくりとした紹介になってしまいましがこの論文は多分、学術的に特殊作戦部隊を分析した数少ない論文であり、一読の価値があると思われますので是非オススメです!

米軍特殊作戦部隊の一考察①
アフガニスタン軍へ訓練支援を行うMSOT8222の隊員と見守る米陸軍第82空挺の隊員




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Posted by フライ大尉 at 00:33│Comments(0)その他・雑記
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